2018/05/18
当院には治らない、コントロールが上手く行かない皮膚病の子が多く来ます。そんな子達を良い方向に導くための診断には皮膚科特有の検査が必要です。今日は犬・猫の皮膚科診療を行う上での検査について書いてみようかと思います。
- 問診
- 全ての診療の基礎ですが、皮膚疾患の場合はとても大事な情報です。いつからか?季節差は?生活環境は?一般状態は?など多くの情報を得ることが皮膚科診療では大切です。
- 触診や視診、臭い
- どのような皮疹なのか?分布は?色調など沢山の情報が皮膚疾患の場合は表に出てきます。硬いのか柔らかいのか?時には臭いなども大切な情報になります。新しい病変なのか?古いのか?立体的にはこうなっているのでは?と時間軸や皮膚の断面を想像したりもします。
- 皮膚科検査
- テープストリッピング検査:セロテープで皮膚表面の細胞や菌の有無や状態を確認します。皮膚科診療ではもっともスタンダードな検査かな?と思います。
- 皮膚掻爬(スクラッチ)検査:皮膚表面を少し削りフケを回収して行います。毛包虫(ニキビダニ)や疥癬の探索に用います。
- 抜毛検査:毛を抜いて毛そのものや毛根の状態、感染体の有無などを確認します。何を見たいかによって毛に浸す溶液を変えます。
- 耳垢塗抹・直接鏡検:耳垢をスライドグラスに塗抹したり、直接顕微鏡で確認し、外耳炎の原因菌や耳ダニの有無を調べます。
- 培養検査・感受性検査:患部から膿やフケなどを回収し、菌がいないかどうか?菌には何の抗生剤が効くのか?を調べる検査です。検査センターで行うのが一般的です。
- アレルギー検査:アレルギー体質があるか?何の抗原に対して反応しているのか?のあたりを付ける検査です。血液を使って行いますが、検査の種類によっては投薬歴の確認がとても大事な情報です。
- ウッド灯検査:特殊なライトを当てることで皮膚糸状菌の探索を行います。M.canisの50%がアップルグリーンに光ると言われています。
- 耳鏡検査:耳道内にオトスコープを入れて耳道内の異物の有無・表皮の状態を確認します。手持ちでは不十分であり、いわゆるビデオオトスコープが大切です。耳道処置がきちんと遂行されているかのチェックにも有効です。
- 皮膚病理検査(皮膚生検):患部の一部を6mm程度のパンチメスで採取し、病理診断を行います。どの病変を取るか?どの様に取れば良いのか?など実施には知識や経験が必要です。また提出する病理診断医も重要で、皮膚病理に精通しているかどうかも重要です。時に病理診断医とディスカッションし診断や今後の方針について検討することもあり、皮膚科としては醍醐味のある瞬間だと思います。
- その他各種検査
- 皮膚科疾患の中には全身性の疾患に起因するものも少なくありません。そのような場合が考慮される場合は血液検査やレントゲン検査、エコー検査など一般的な検査が重要になってきます。
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