去勢手術・避妊手術はどうしましょう?

2018年03月28日

去勢手術や避妊手術をした方が良いか?ということについて。

結論から言うと、「することをお勧めします」です。成犬でも同様です。

なぜか?

お勧めする理由は多岐に渡りますが、端的に言えばQOL(生活の質の維持)です。病気の予防や、精神衛生面、一部問題行動の改善・予防などなど。。。平たく言えば「人間との生活を過ごしやすくするために必要なもの」という事です。

一方、しない方の理由は、この子の子供を取りたい・見たい、麻酔のリスク、費用、自然のままにさせたい(人間の都合で手術させたくない)、何となく時期を逸した。。。あたりです。

しかし、それでも私自身はお勧めします。

折角縁があってそれぞれのご家庭で迎えた子ですから、なるべく健康に長生きしてもらいたいという事が大前提だと思います。すると、そのために出来る事はしておいた方が良いのでは?と考えます。要は、ワクチンや健診と同じ様な「予防・未病」のポジションということですね。進歩した現代医療においては大事な考え方です。

でも、ワクチンや健診と手術を同列に並べるのはいかがなものか?その通りです。麻酔のリスクや費用にも繋がる事です。しかし、現在の獣医療は発達してきた中で、麻酔の安全性もとても高いレベルで維持されるようになってきています。「麻酔をかけたらそのせいで亡くなった」という話を聞くことがありますが、一概に言えませんが、健康な子に限って言えばまず無いことです。100%ではありませんが、そうそう無いことです。例えるなら飛行機に乗ってそれが墜落するか?というレベルです。昔だったら分かりませんが、現代の正しい知識を持って正しく患者の状態を把握し、正しい手段で行えば心配しすぎる事はありません。麻酔は年齢だけによってリスクが決まるものではありません。その子その子の健康状態に依存します。そのために術前検査を行ってリスク評価を行います。その結果を以て、手術すべきかどうかを獣医師ときちんと相談することが大切です。費用も同様です。仮に手術をせずに将来的に疾患になった場合はリスクのみならずコストも跳ね上がります。少なくとも数倍は覚悟すべきです。

この子の子供を見てみたい。。。これはよく分かります。しかし、お産ってそんなに簡単ですか?人間と同じくとっても大変です。定期的な通院、緊急対応の構えなど多くのエネルギーが必要です。そして、出産後も生まれてくるのは1頭とは限りません。お母さんが上手く飼育出来なければ2時間に一度体重測定&授乳&排泄です。それを24時間でです。普段仕事をしている方であればまず無理でしょう。生まれてきた子が先天性疾患を抱えていることも十分あることです。それでも大丈夫なら良いと思います。

自然のままに。。。これは我々と生活する以上自然では無く、それならその環境においての最善を尽くすのが飼い主さんの使命じゃ無いのかな?と思っています。シンボルということを気にされる方もいますが、シンボルで命に関わられたら動物さん側からしたら可哀想ではないかな?と思います。

お家の子達の一番の使命は「ご家族となるべく健康で長生きする」ということです。

手術をお勧めする理由があり、しない理由にはリスクがついてきます。総合的に見ればした方が良いのではないかな?と思ってしまいます。でも一番大事なのはこの様なことを理解した上で、ウチの子にはどうしてあげるべきか?をきちんと考えてあげることです。しとけば良かったとならないよう、悩んでいる方への前向きになれる参考になれば良いなと思います。