耳血腫

2015年10月16日

数日前から耳が腫れてきたとのことで来院した猫のRちゃん。

見てみると右耳先端に1/3くらいの場所が耳血腫になっていました。

耳血腫は耳介軟骨と耳介の皮膚の間に血液様の浸出液が貯留し、膨れ上がってしまう疾患です。膨れ上がった耳介の違和感を呈したり、耳道の入り口を塞いでしまい、二次的に外耳炎を引き起こすこともあります。

原因は特発性のこともありますが、最も多いのは耳や顔面の痒みなどから頭を振ることや引っ掻いてしまうことによる外的な刺激によって引き起こされることです。Rちゃんもやはり耳介部や顔面部に皮膚炎を起こしており、痒みを慢性的に持っていた様でした。

治療としては

①切開し、複数箇所の縫合やドレナージの設置などによる外科的な方法

②液体を吸引・回収し、若干量のステロイド&インターフェロン製剤の注入を繰り返す内科的な方法

に大別されます。今回は量も少量でしたので②の方法を選択しました。経過はとても良好で、複数回の通院は必要であったものの、1週間ほどでほとんど液体の貯留も起こらなくなりました。内科療法で反応しない場合は①の方法を選択しないとならなかったですが、無事に回避できました。

耳血腫は命に関わることはありませんが、適切な治療をしないと耳介が変に収縮してしまい、半永久的な外耳炎を起こし続ける可能性もあり、早期な治療が必要です。また、内科療法で反応しない場合は外科的な方法を選択することが肝要です。