子犬の咳・鼻水・くしゃみ(ケンネルコフ)

2015年09月28日

最近はすっかり秋めいてきて過ごしやすくなってきました。

季節の変わり目は体調を崩しやすかったり、皮膚炎のコントロールが難しくなる子が出てくることがあるため体調の変化には注意してあげて下さい。

最近、子犬の咳・くしゃみなどを主訴とする子が多く来院しています。所謂「ケンネルコフ」といわれるものです。

ケンネルコフは犬伝染性気管気管支炎とよばれ、犬パラインフルエンザウイルスやアデノウイルス2型などのウイルスや細菌・マイコプラズマの混合感染が原因となり、咳を主症状とする感染症です。予後は良好ですが、重症化すると気管支肺炎・肺炎などを併発することもあり注意が必要な疾患です。

ペットショップなど不特定多数のワンちゃんが多くいる環境や、パピーなどの免疫的にまだまだ弱い個体、ショップで購入後の環境の変化など抵抗力の落ちる時期などが発症しやすくなるため注意が必要です。

治療法としては

①抗菌薬の使用:混合感染や二次感染予防

②緩和療法:鎮咳薬、去痰薬、抗炎症薬の使用。食欲など一般状態の支持など

③ネブライジング:吸入療法

④インターフェロン:著しい重症なケースに使用することあり

といったものが挙げられます。基本的には1.2.で対応していきますが、症状に応じて3.4.を選択していきます。特に3.は経過が長期化しているケースには強く勧められ、積極的に行いたい方法です。しかし、症状に依りますが効果が長続きするものではないので、連日実施する必要があります。当院ではまず2日間連続で実施し、改善が著しければそれで終了とし、症状を見ながら必要に応じて行います。

先に述べたとおり、予後は良いのですが、子犬という余力の多くない子では重症化するケースも少なくなく、症状が数日で収まることはあまり無いため、注意が必要です。特に鼻づまりや発咳などによる体力の消耗などで食欲が落ちてくるケースは積極的な通院や時には入院が必要になることもあります。

子犬をお家に迎え入れた時にとても多く見られる疾患ですので、新しく飼い主になられた方はこの疾患について正しい知識を得ることや様子を見過ぎないことをお勧めします。

補足:上記の症状が常にこの感染症であるとは限りません。時には寄生虫の迷入や気管虚脱などの病態もありますので、上記の症状がある場合は是非獣医さんの診察を受けて下さい。