会陰ヘルニア

2015年03月09日

会陰ヘルニアはお尻周り(会陰部)の筋肉の隙間から腹腔内の脂肪や腸、膀胱などが逸脱してしまう疾患です。

去勢手術をしないでいると、男性ホルモンの影響で会陰部の筋肉の菲薄化が起こり、会陰ヘルニアを誘発しやすくなるとされています。

以前、排便困難とお尻の出来物を主訴に来院したNちゃん。この子も会陰ヘルニアによる排便困難でした。この時点では排便困難だけだったことと、飼い主様の意見もあり、便軟化剤などを用いて内科的に管理をしていました。先日からトリミング&ホテルで来院しましたが、お預かり中の様子を見ていると、排便困難なのは変わらないものの、今回ついに排尿困難まで認めるように。。。ヘルニア部に膀胱が逸脱して、尿が自力で出しにくい状態になっているようです。

尿が出ないというのはとても危険な状態ですので、カテーテルを挿入しとりあえずの排尿は行いましたが、カテーテルが入っていないと自分の意思で尿が出しにくい状態です。宿便も多く、かなり生活の質が落ちていますので、飼い主様には改めて手術の必要性をご理解して頂く必要があります。手術は

  • ヘルニアの整復ならびに閉鎖
  • 腹腔内臓器の固定
  • 去勢

を行うため、簡単な手術ではありません。しかし、行わないとこの状態が続き、いつ本当に排尿が不可能になるかを考えると恐ろしいです。なんとか手術を受け入れてい頂けると良いのですが。。。

早期の去勢を行うことで予防の可能性がグッとあがる疾患の一つですので、まだ去勢をしていない子は是非していただくことをお勧めします。年齢に依らず、一般状態が問題なければ手術は可能ですので、ご心配な場合はご相談下さい。