専門医と認定医。大学病院ってこんな所。

2014年11月20日

獣医師の宮坂です。

最近は朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたので、皆様風邪など引かないようお気をつけくださいね。

さて、昨日は大学での研修を行い、夜からは今月で皮膚科レジデントを修了される先生の送別会がありました。獣医の皮膚科は世界に通ずる専門医をアジアレベルからも輩出しようと考え、専門医になるためのレジデント制度があります。この先生はそれを修了し、試験を経てアジアの獣医皮膚科専門医として活躍されることになります。いわゆる獣医皮膚科のエキスパートの一員となるわけです。アメリカなどのレジデント制度の様に厳しい基準を乗り越えての資格ですので、とてもすごいことなんです。年齢も同じで仲良くさせてもらっている方でもあるので、私自身とても嬉しいです。

現在、日本獣医皮膚科学会は専門医の他に認定医という制度もあります。認定医は学会の定める要件をクリアし、学会から「一定以上の皮膚科診療に対する知識や経験を持っています」ということを認定してもらった獣医師ということになります。なので、皮膚専門に診るというよりはゼネラリストに加え、皮膚科診療にも一定以上の能力を有しているというイメージでしょうか。私自身もその習得を目指し、現在大学病院の皮膚科での研修を行っています。

さて、その東京農工大学の皮膚科診療について書いてみようと思います。

大学病院は2次診療施設であり、原則ホームドクターからご紹介を頂き診療をさせて頂いています。セカンドオピニオンであったり、難治症例や珍しい症例であったり様々な方が遠方からもお越しになります。我々研修医が紹介状などから主訴を把握し、実際に問診・身体検査を行い、それらを報告をした上で担当の教官やレジデントの先生と一緒に鑑別診断リストや必要な検査などをディスカッションしていきます。そして実際の検査を自分たちで行い、結果を出していきます。次はそれらから診断を出したり、次の治療プランや追加検査の方針をディスカッションを行った後、担当教員から飼い主様にご報告・治療プランの決定をしていきます。診療後はカルテを読み合わせ、改めて見直しやディスカッションをみんなでしていきます。さらに定期的に勉強会も行っています。

研修をしている最大のメリットは、普段では診ることの少ない症例に出会うだけでなく、皮膚科エキスパートの先生と実際にディスカッションや学会などで聞けないような様々な知識や経験を共有させていただけることにあります。おかげで一般の先生では経験しにくい様な経験をさせてもらっています。また、周りの研修医の先生方はすでに開業されている先生方も多く、皮膚科以外の診療における情報交換やネットワークが作れることで自分自身のアップデートができることも大きなメリットです。どうしても閉鎖的になりやすい動物病院において大変重要なことだと思います。開業をし、勤務医の頃よりも忙しいですが、認定医取得後も体の許す限り続けていこうと思っています。

当然、当院はあくまでもホームドクターですので皮膚以外の診療も研鑽を重ねてしっかりと対応させて頂いています。病気以外でもトリミング・ホテル、しつけ相談などペットさんとの生活に関わることは全て丁寧に行っています。そのため1つ1つの診察が長くなることもあり、ご迷惑をお掛けすることもありますが是非、お散歩のついでなどでも立ち寄って頂ければと思います。スタッフ一同、親身で細やかな対応が出来るよう頑張っていきます。

おまけですが、簡単なお手入れは全て診察料に含まれておりますので、お気軽にご利用くださいね。