大腿骨頭壊死症

2020年06月14日

大腿骨頭壊死症、別名レッグ・カルベ・ペルテス病という病気です。

その名の通り、大腿骨の骨頭部(すなわち股関節の部分)が壊死をしてしまう病気です。写真は右足において発症し、骨頭の変形が起きています。

壊死は血流が悪くなる虚血によって起こるとされ、発症してしまうと有効な治療は無いとされています。

遺伝的な要素が多いとされ、比較的若齢での発症が多く、日本ではトイプードルやヨーキーさんに多い印象です。

症状としてはとても強い痛みを呈す事が多く、跛行やそれに伴う不使用性の筋萎縮、病的骨折など出てくるようになります。治療としては悪くなってしまった骨頭部の切除となります。人工関節置換などもあるようですが、これは整形外科専門の病院などで実施され、一次診療においては一般的ではありません。

手術の目的としては痛みの除去です。足の機能としては厳密な意味での100%の回復にはなりませんが、殆どの子で表面上の症状はほぼ認められない経過をたどることが出来ます。

継続的な痛みというのは痒みと同じくとても煩わしいものです。若齢で発症することが多いので、手術を選択しないと痛い時間がそれだけ長く続くことになります。手術になってしまうことは残念なことではありますし、負担があるものではありますが、筋萎縮するくらいの強い痛みがずっと続くよりはずっと良いのかなと思っています。当院ではパピーさんの診察も多く、必然的にこの病気を見ることが少なくありません。

再生医療などが進めばこのような疾患も新たな治療法ができるのかな?と思います。10年後や20年後にはこんなやり方もあったよねとなると良いなと願うばかりです。