口蓋裂

2020年05月07日

口蓋裂、、、

その名の通りで、口蓋、すなわち口の上部(口腔粘膜の上顎側といえばいいでしょうか?)が裂けている状態です。先天性疾患の一つであり、鼻と口腔内が繋がってしまい、誤嚥や肺炎が大変起きやすくなる状態です。

先日、ドッグシェルターさんからのSOSで閉鎖手術を行いました。

まだとても幼齢であったため、成長に伴い再手術が必要になる可能性なども含めて検討してもらいましたが、手術をしようということになりました。

今回の口蓋裂はとても大きな欠損で、穴は咽頭の手前まで続いている状態でした。

術式としては欠損部の左右口蓋粘膜を剥がし、鼻腔粘膜側、口腔側それぞれを寄せて縫合する事にしました。すると穴が大きすぎるため、寄せた側にも開口部が作られてしまい、急遽口唇粘膜を剥がしてその部位に蓋をする事を加え閉鎖しました。喉の奥も縫合して閉鎖をし、術後は口を使っての食事を一時的に回避するために食道チューブを設置しました。とても小さな子でしたが、生命力はとても高く頑張ってくれました。

術後はチューブからの食事を与え、しばらくしてからチューブを抜去し、現在は通常の食生活でもって成長を見届けているところです。今の所、術部の解離は起きておらず、再オペ不要のまま行ってもらうことを願うばかりです。

この子も無事に成長して、ドッグシェルターさんを卒業できる日が来ると良いなと切に願います。

ドッグシェルターさん、とても熱心で一生懸命な保護団体さんです。当院もリンクを貼らせてもらっていますが、本当に素晴らしい団体さんだと思います。自分も幾つか保護団体さんと仕事をさせていただいたことはありますが、ここは獣医師としても信頼できると感じています。自分自身も開院から200頭以上の子に関わらせて頂いています。

保護をしてくれる方、医療を受けさせてくれる方、その子を受け入れてくれる方、それぞれがいるおかげで不幸な子が少しずつですが数を減らしています。自分が出来る事は医療を提供する事でしかありませんが、こういう子達であってもなるべく良い医療を展開できるよう、研鑽をし還元していきたいと考えています。微力ですが、出来る限りそして引き続き力にならせてもらいたいなと思います。

皆様も是非HPをご覧になってこういう活動があるんだよって事を確認してもらえたら幸いです。