遠方からのお問い合わせや他院処方のお薬についての相談について

2019年11月09日

以前5月頃に載せた内容をちょっと変えて。私自身の一意見&当院のスタンスです。もしかしたら不快に思う人もいるかもしれません。嫌な気持ちになりそうだなという方はそのままブラウザの戻るを押して下さい。


ブログを書いている影響なのか検索の末、都外からの診療などについての問い合わせが大変増えています。

国内は南から北までは当たり前。先日はアメリカなんてこともありました。

内容はほとんどが今の治療が上手くいかない、不明点や不満や不安があるといったもの。

他院で処方された〇〇というお薬にこういう副作用はありますか?というのも多いです。

もはや問い合わせというより相談窓口と化しています。

頼って頂くことはとても有り難いことではありますが、正直良いものとは思っていません。それは以下の通り。

・電話やメールでは分からないことも多く、歯切れの良い回答は出来ないだけでなく、こちらの誤解などによって誤ったミスリードを引き起こしてしまう恐れがあまりにも多い事→要は直接診ていないので責任上道義上答えられないのです。

・その結果元来のかかりつけの先生に水を差してしまう事などに懸念がある→これはとても大事です。後医は名医なんてことは望みません。自分は最初から動物さん達にとっての名医でありたいです。

・このような場合は本来なら診察料などが発生する内容にもなるものの現実問題請求することは不可能であり、一般の飼い主様との公平性が保てない→当院をかかりつけしているならそのような問い合わせはむしろウェルカムであり、うちをかかりつけにしているメリットと感じてもらいたいので良いのですが。。。

・割と少なくないケースでかかりつけ医との意思疎通が出来ていない事が多いこと。インフォームをしない獣医師も問題ですが、ちょっとしたすれ違いで伝えるものが伝わっていなかったりすることも多く、お互いがちゃんと話せば理解できるような状況であると推測されることが多い

・お薬の副作用などについての説明は処方した病院さんからすることですし、製薬会社の相談窓口等に問い合わせていただくべき案件です。当院は一般論以外お答えできません。

などなど。

蛇足ですが、人間ではセカンドオピニオン外来というものが存在します。獣医療では中途半端な感じです。セカンドオピニオンと言われて来る方の殆どが正確には「転院」です。セカンドオピニオンは検査結果などを見て、現在の治療が適切なのか?改善点は無いのか?などをその検査結果などからコメントを出す事です。そこに追加検査を行ったりすることはその場ではありません。治らないから診てもらいたいは「転院」なのです。

話は逸れましたが、なぜ治らないのか?もっと良くする事は出来ないのか?このようなお気持ちからの行動かと思います。しかし、最も現状をいろいろ知っているのは今のかかりつけの先生です。それはその子の事を良く知って考えてくれる人なはずです。なぜ良く治らないのか?今一度聞いてみることが大事です。怒ったり答えてくれない先生なら他の意見等を求める事は必要だと思いますが、それをメールや電話で探る・済ますことは相談される側からすると不本意です。なぜなら直接診たことが無い患者さんについて正確な回答は出来ませんし、してはいけないことと思っています。理由は先に挙げた通りです。一般論が聞きたいだけだとしても同じです。病院の業務の主体は電話やメール相談対応では無く、目の前の子・飼い主様を救う事です。なのでやはり直接受診していただきたいのです。

セカンドオピニオンを取ることが悪いことということではなく、そのエネルギーがあるなら本当に必要か?かかりつけに相談は出来ないのか?どのようにすれば中途半端じゃなく意味のある事になるのか?等を考える事が必要です。やはりそれは電話やメールで解決出来ません。直接診ずして解決は出来ません。出来るレベルならとっくに問題は解決しているはずです。うちに聞く余裕があれば、かかりつけ医に良く話を聞いてもらった方が良いケースも多々あります。また、聞くくらいなら直接受診をしたほうが良い意味でのその子にとっての正解が早く正確に見つかると思います。確かに第三者の意見はとても大切です。ですが、その第三者の意見もしっかりと診療を経て得た方がより確実です。というか経なければ無意味です。

SNSやネットなどで簡単に相談できる窓口が増えていますが、それと動物病院そのものを混同しないように注意しないといけません。先に述べた通り、動物病院の仕事は目の前の診療です。電話の間にも待っている患者さんがいます。かかりつけの患者さんがSOSの緊急電話を掛けてきているかもしれません。手術・検査があります。手が空いても他の仕事がごまんとあります。そういう事を慮る想像力が必要です。当然、我々も理由あっての相談だと思いますのでしっかりと慮って、精一杯の対応はしてきました。しかし、普段の診療にも影響が出てくるレベルにまでになってきています。メールの部分でも言いたくはありませんが、中には不躾な返信が来たり、返信すら無く一方的なケースもあります。相談に乗らないなら分かるようしろとご忠告頂いたことも数知れず。でも少し想像力を働かせれば分かることだと思います。仮に自分が風邪が治らない時に、行ったことも無い病院に飛び込みで問い合わせても「診てみないと、診てないから分からない」と言われるのは自明なはずです。そう言ってくれるだけむしろ優しい病院です。一般論が欲しいとしても、ならまずはかかりつけ医、無料相談窓口、それで駄目なら転院や紹介を経て目当ての病院を直接受診だと思います。

病院選びの大切な要素の一つは近いということだと思います。物理的な距離、心情的な距離、どちらもとっても大切です。バランスは人それぞれですが、当院は心情的にも近い病院であることを特に意識しています。当院を信じてくれている方たちにはメールでも電話でも心配なら直ぐに連絡下さいとしています。できる限り応えます、と。でもそれは前提として一定の信頼関係があることが必要です。診たことが無い子の場合はまずは一定の信頼関係の構築のためにも直接の受診が必要だと思います。面倒だったり手間がかかったりお金がかかることだとは理解しています。だからこそ来てくださる時点で我々からすると精一杯頑張ろう、応えようと思えるのです。

纏めると、「当院かかりつけでない子の診療やお薬についてのお問い合わせ・ご相談は、直接ご来院の上受診して頂ければ、診察の中でお答えさせて頂きますし一生懸命考え、寄り添い、良い方向に行くようサポートします!しかしお電話やメールでのご相談の回答は致しかねます」です。面倒であるとかネガティブな感情は一切無く、責任上・道義上ただただ当たり前の事と思っています。当院のモットーは「あって良かった、来てよかったと思える医療を提供すること」ですから。要は来てくださる患者さんを診て良くしてあげたいのです。

本音を言えば、暇なタイミングであれば一般論で良ければお話できる部分もあるし力になれるものもあるかもしれません。力になれるならなってあげたいです。でも時間が無いんです。そうするとたまたま暇な時に対応出来た人には良いけれど、忙しい時に問い合わせてきた人には対応出来ません。それは仕方ないけど不公平だなと思いますし、出来なかった時にSNSや口コミサイトなどで「冷たくされた、対応してくれなかった」などと言われたらとても傷つきますし、不本意ですし、勝手なことを、、、と思ってしまいます。善意でやってるのに結果として悪口に繋がりかねないならいっそのこと対応しない!とドアを閉めるべきなのかなと今の時代に於いては感じています。

やれる限り精一杯、そのような問い合わせにも力になれればと思って対応して来ましたが、問い合わせ数が普段の診療が疎かになるレベルになってしまいました。中には本当に大変なシチュエーションの方や流石に無碍には出来ないという方達もいましたが、目の前の動物さん達に注力をさせて頂くべく心を鬼にして、新規や遠方等で来院予定の無い方の診療相談はお断りさせて頂きます。苦渋の決断であることをご理解下さい。

そもそも相談乗らないならもっと分かりやすく書いてというご忠告も、我々からすると言わずとも分かる事という認識でしたので、ここは周知が必要だなと思います。お断りします、という事実・結果では無く、なぜ断るのか?という過程や理由をです。なので再度ブログに載せてみました。あまりHP内で〇〇はしません、お断りします、やめて下さいなどは固定では載せたくはありません。みんなが笑顔で楽しい気持ちで働いたり、受診していただけるようにしたり、医療に対して一生懸命、真面目に取り組もうと思うとどうしてもこんなスタンスになってしまいます。少しでもそんな考えが浸透したらなと思います。