陰睾

2018年06月21日

陰睾、潜在精巣や停留睾丸とも言います。

精巣が陰嚢の中に収まらずに皮下や鼠径部や腹腔内に残っている状態。

遺伝によるとされ、精巣が陰嚢よりも体内に近い部位に存在するために温められ精巣の発育不良が起こりやすくなります。将来的には精巣腫瘍の発生リスクが大幅に上昇することが分かっており、去勢手術の実施が推奨されています。発生率は犬で3〜5%、猫では1%程度とされています。

手術自体は腹腔内であれば開腹が必要となりますが、皮下であれば不要です。しかしこの判断が時折難しい時があります。一番厄介なのが鼠径部のあたりを精巣が出入りしているパターンです。とある時は触診で確認できるものの、違う時は確認できず。。。最も困らせられるのは確実に皮下にあると思ったものの、手術時に仰向けにした際に腹腔内に消えていくケースです。日帰りですよと伝えたものの、開腹となり一泊ですとなると何ともバツが悪い気持ちになります。こればっかりは出たとこ勝負な部分もあるので致し方ないところではありますが。。。

最近はショップで購入した際にこの子は潜在精巣ですと伝えてくれることも増えましたが、来院時の身体検査まで分からないことも少なくありません。精巣自体は発生は腹腔内で起こり、出生後体外に降りてきます。遅くとも6ヶ月以内に降りてくるとされ、6ヶ月齢までに降りてこなければ陰睾と判断します。

もし、お家にいる子でまだ去勢していなければ是非触って見て下さい。万が一精巣が片方しか触れない、両方とも無いなどの場合はかかりつけ医にご相談下さい。

写真は腹腔内かと思いきや皮下にあったケースです。