白内障の点眼薬

2017年09月29日

白内障に対する治療薬について相談される事が少なくありません。そこで個人的な考え・感想を乗せてみました。ただ、これはあくまでも現時点でのお話で、新たな知見が出れば変わることもあるかもしれません。

  • Q:ピレノキシンって効果あるの?
    • A:初期の白内障であれば進行を抑制する事は期待できるかもしれません。ただ、期待値が高い訳ではなく何もしないよりは良いかもしれない程度だと思います。白濁を解消する点眼薬ではありませんので、進行した白内障への効果はありません。また急速に進行する場合の白内障では抑えが効きません。
  • Q:Nアセチルカルノシンってどうなの?
    • A:2006年の論文では未熟白内障においてわずかながら白濁が改善したという報告がありますが、ぶどう膜炎を併発(薬理機序として水晶体内の混濁物質を溶解させるため、それが眼内への刺激・炎症を惹起する結果)することがあり、緑内障や失明に至ることがあるため、定期的な診察と慎重な投与・経過観察が必要です。個人的には効果の期待値よりも副作用(眼内炎症の惹起)の方が大きいと考えており、当院ではお勧めしていません。
  • Q:白内障に点眼薬自体は必要なの?
    • A:初期の白内障であればピレノキシンは良いかもしれません。しかし、点眼自体がストレスになる場合は無理に使用しなくても良いと思います。体へのマイナス要素はほとんど無いですので、安全ではあります。進行した場合は水晶体の融解に伴うぶどう膜炎への備えとして消炎剤の点眼薬を使うほうが良いと考えます。Nアセチルカルノシンについては上述の通り副作用からお勧めしません。
  • Q:経口のサプリメントってどうなの?
    • A:明確に効くというデータはありません。サプリメントですので効果というものは謳えません。あくまでも気持ちの問題だと思います。個人的にはサプリメント以上に定期的な診察&眼圧測定をすることが重要だと思います。
  • Q:白内障になったら結局どうすればいいの?
    • A:発症した年齢、基礎疾患の有無などによって変わりますが、急速に白濁が進行する場合は代謝性疾患の有無や中毒の有無、アトピーなどの顔面の掻痒性疾患の探索・治療が必要です。最終的には水晶体の溶解、萎縮等でぶどう膜炎や水晶体脱臼、続発性の緑内障を引き起こしますので定期的な診察・検査等を行いながらそれらへのケア・警戒をしていくことが必要です。根本的な治療を行いたい場合は外科手術が推奨されますが、その場合は眼科専門病院へご紹介させて頂きます。視力の低下に伴う行動の変化が出ることがありますので、家具の配置の変更や突発的なボディタッチはあまりしないなどして頂くと良いかもしれません。
  • Q:目が白くなってきた=白内障?
    • A:そうとは限りません。似たような見た目のものには核硬化症という病的でないものもあります。角膜表面の水腫や炎症などでも白く見えることもあります。眼のどの部位がどのように白くなっているのか?が大切で、判別には診察が必要です。気になる場合は早めの受診をお勧めします。

これらはあくまでも代表的な質問です。その他にも色々気になること・心配な事があれば遠慮なくご相談くださいね。