狂犬病の大事なお話

2016年10月24日

先日、東京都獣医師会の役員のお仕事で狂犬病のワークショップに出席してきました。

要は狂犬病が国内に入ってきたらどうするの?獣医師として我々が出来ることは?そもそもどんな所から入ってくるの?なんてことをテーマにした勉強会というか討論会みたいなものです。

最初は単なるお役所仕事なのかな〜なんて思っていましたが、出てみて衝撃でした!

脅しでも無く、狂犬病は我々の直ぐ側にあるんだということを思い知らされました。

日本は世界でもとても珍しい狂犬病の清浄国であることは皆様ご存知だと思います。しかし、周りの国々は狂犬病の発生が普通に起こっており、人もたくさん亡くなっていることもご存知ですよね。

私が以前暮らしていた北海道ではロシア船が港に入港してきますが、ロシアの方達は犬を守り神として船に同乗させる慣習があります。その犬達は時に勝手に船から降りたり、時には逃げる事故も起こっています。万が一その犬が狂犬病ウイルスを保持していたら日本国内に狂犬病ウイルスが入り込む可能性がありますよということが良く話として出ていました。でも、実際問題飼い犬が狂犬病なんて〜と思っていた節が自分自身ありました。要は小さい子がいたずらしないようにする迷信?みたいな物とすら。

実際に国としてもこのようなリスクとしてはあるとはしていたものの、今はそれよりももっと危険な事案があるということを紹介してくれました。

今、最も危険視されているのは海外からの物流コンテナ内の混入動物による狂犬病ウイルスの国内流入です。中国やアメリカなど多くの国から船によって多くのコンテナが日本にやってきます。そのコンテナに野生動物が混入し、荷物の開梱時に逃走、咬傷事故、死体で発見といった事案が普通に報告されています。そのコンテナは港だけでなく、様々な場所にある指定の検査場で開梱されることもあります。目黒区には無いそうですが、隣接区には普通にあるようです。実際に報告がある動物には犬・ネコ・ハクビシンが挙げられていいましたが、特にハクビシンは攻撃性も高く、日本ではハクビシンによるものとされる飼い犬やネコの咬傷事故が起こっています。ハクビシンも当然、狂犬病ウイルスを保持できます。

万が一保持しているハクビシンが混入・逃走をして野良猫に噛み付いた、狂犬病ワクチンを打っていない飼い犬を咬んだら?狂犬病に感染するリスクがあります。そうなったらもう大騒ぎです。

実際の混入動物の報告は全て上がってきているわけでは無いだろうという推測もされていました。

人を守るための狂犬病予防法だから国が打てというのだから打ちましょうという少し受動的なスタンスを自分自身取っていました。また、高齢だから打ちたくないという方の気持ちも分かります。でもこの話を聞いたらとてもではありませんが、打たなくていいよとは益々言えなくなったなと思っています。色々と狂犬病予防接種には意見があり、反対の意見を言う人のこともわかります。でも、日本は思ったよりもずっとずっと水際にいるようです。