椎間板ヘルニアの手術

2015年07月24日

うだるような暑さが続きますね。夏休みも始まり、ザ・夏といった感じです。私は夏は好きですが、汗っかきなのである意味しんどいシーズンです。そのため、院内は涼しくしてあります!

さて、昨日(というか今日??)は椎間板ヘルニアの子の手術がありました。

13歳のシーズーさん。ベッドから落下したあとから後躯麻痺になったとのことで連休中に来院でした。自力で歩行不可でかろうじての自力で排便・排尿が可能な状態です。経過からすると椎間板ヘルニアであればグレード4というかなり重度な状態で、文献的には内科療法よりも外科療法の方が成績が良いとされています。経過からすると椎間板ヘルニアが第一鑑別診断ですが、高齢であることや症状が重度であることから脊髄軟化症への進行の可能性や、腫瘍などのその他疾患は頭に入れておく必要があり、理想的には確定診断のためにCTやMRIが推奨されます。飼い主様のご希望により、まずは内科療法をチャレンジしたいとのことで2日間実施しましたが改善は乏しく、内科療法の限界がありました。この時点で再度状況を説明し、外科手術の可否や診断を含めてMRI検査を実施してもらうことになりました。

MRIは撮影出来る施設が限られていますが、当院には幸い比較的傍に撮影可能施設があるためそちらで検査を依頼。結果、第一〜二腰椎の椎間板ヘルニアとのことで手術をすることになりました。前後にも脊髄の圧迫病変がありましたが、責任病変のみの手術となりました。

手術は夜間に外部の先生方と一緒に実施しました。大学で共に研修をしている先生方は開業後も引き続き面倒を見てくれ、今回の様なイレギュラーの手術の際に力を貸してくれます。

背中からアプローチしていわゆる片側椎弓切除術という術式で手術を進めます。骨を削り、脊髄へとアプローチしていきます。右の写真で真ん中に横に走る脊髄の腹側から椎間板物質が突出しているのが分かります。

脊髄の変位も著しく、押し上げている椎間板物質を取り除いて元に戻す必要があります。なるべく脊髄に触らないように慎重に慎重に。。。取り切ったあとが下の写真。脊髄の変位も治っています。もう一つ頭側の椎間でも同様のことを行って終了しました。術後はアイシングやリハビリで後肢の感覚や運動能力を取り戻せるよう長い闘いが始まります。

術後1日ですが、一時的に見られる悪化もなく元気食欲とも良好。あとはリハビリを地道に頑張るのみです!

基本的には椎間板ヘルニアは緊急手術が必要になる疾患の一つですので、MRIが出来る施設でそのまま手術をしてもらうという紹介するケースをお勧めしていますが、飼い主様の都合によっては当院で実施することもあります。その他大学などで行うような手術でも場合によっては当院で受け入れる事もあります。なるべくみなさまのニーズに応えられるよう努力していきますので、皮膚疾患をはじめ、お困りのことがあれば遠慮なくご相談くださいね。