フィラリア予防期間って7ヶ月?8ヶ月?9ヶ月?

2015年04月21日

今月は天気がパッとしませんね。明日からはお天気のようですが。。。

さて、先日お世話になっている先生からお電話。。。

A先生:「先生はフィラリアの投薬期間をどうしてる?」

私:「当院では5月頭から開始して12月頭に終了の計8ヶ月をお願いしています。」

A先生:「ウチもその期間お願いしているんだけど、その予防をしっかりしてもらった子が今年のフィラリア検査で陽性反応が出てしまったんだ」

私「!?」

A先生:「フィラリアの薬を出しているメーカーに問い合わせたところ、東京や神奈川なら最後の投薬が12月中旬になるようにした方が良いと言われた」

私自身正直驚きでしたが、メーカーの情報によるとやはり12月の初旬〜中旬を勧めていました。近年の温暖化の影響もあって昔より予防期間が若干延びているようです。

フィラリアのお薬はよく予防薬とお話することがありますが、厳密には駆虫薬に分類されます。具体的にはフィラリアの子虫であるミクロフィラリアが蚊の吸血を介して感染をし、体内で脱皮を繰り返し、血管や肺・心臓に移行する準備をします。フィラリアのお薬はその成長したミクロフィラリアが血管などに移行する前に駆虫を行うことでフィラリア症の予防効果を発揮してくれます。そのため、蚊が発生する時期から少し遅れて追いかける形で投薬を行う必要があります。要は最後の1回をどの時期に飲ませるかがとても大切な事になります。

大体はGW前あたりから蚊が発生し、ミクロフィラリアの感染が開始することやノミ・ダニの予防も開始することから4月末〜5月頭が投薬の開始時期になります。そして、投薬の終了が蚊のいなくなる11月初旬から3〜4週間ほど追いかけた12月頭をラストにすることが多いですが、さらにもう1回追加で飲ませた方が良いのかもしれないということです。

ただ、

  • フィラリアのお薬の予防期間は病院ごとに任されていて厳密なガイドラインは無いこと
  • この地域で12月頭に投与していても来年のフィラリア抗原検査陽性となることは大変稀であること(私自身はありません)

フィラリアのお薬はとても安全なお薬なので1回増えても生体へのリスクはありませんが、実際に飼い主様からすると投薬が1回増えることの手間やコストの面を考えたり、かといってフィラリア症は大変恐い病気であることを考えたりするとジレンマに陥ってしまいます。そのため、現時点ではもう少し情報を集めて判断しようと思っており、特に方針は変えずに行こうと思っています。

たまに質問されるのが「他の病院で予防は7ヶ月(ラストが11月)で良いと言われた」ということです。これに関しては難しいです。正直、その先生はその先生なりの方針があってのことですので肯定も否定もできません。昔はそれで良かったのかもしれません。少なくとも当院では上記のようなケースがゼロでは無いことや、実際のメーカー推奨の期間ですらギリギリの範囲での予防をお願いしているため、これ以上期間を短くすることはお勧めしません。きっと人気を稼ごうと思えば「少なくてもいいよ〜」と言ってあげられるのでしょうが、病気の性質上のことや万が一のことを考えると無責任になってしまうと思っています。

法律で決まっているわけではありませんので、我々はお願いすることしか出来ません。飼い主様には是非正しい知識を身につけて、予防できる病気をしっかりと防いでペットとの楽しい生活を送って頂ければと思います。当院でもワクチンなどと含めて新しい情報をアップデートし、皆様に還元できるよう務めて参ります。ご不明な点があれば遠慮なくご相談下さい。