異物誤飲事故

2018年11月19日

先月から今月にかけて異物の誤飲事故が何故か多発しています。アメリカに住んでいる子の誤飲についての問い合わせなんてのもありました。

犬猫・種類問わずに綿の塊、おもちゃの一部、とうもろこし、石、枝、キャップ、ガムなどなど様々な種類を誤飲してしまった結果、催吐処置で済んだ子、便に出ることが出来た子、内視鏡で取れた子、内視鏡を試みるも取れるサイズでなく開腹となった子、最初から開腹となった子、胃切開、十二指腸切開、結腸切開。。。これでもかというくらい様々なバリエーションでした。手術と内視鏡だけでも何頭やったか思い返せないくらいです。

異物誤飲事故はいわゆる人災の一つです。人間が引き起こしてしまう事故です。誤飲をしてしまう子は繰り返す傾向がありますので、一度でも誤飲の経験があるご家庭ではかなりの警戒が必要です。しっかりと物をしまう・収納する、サークルやクレートの活用をするといった具合です。

なるべく開腹などにならないように当院では内視鏡を導入し、複数サイズのスコープや異物回収鉗子などを揃えていますが、それらを駆使しても駄目な時も多いです。誤飲をしてからどうするか?ではなく、起こさないようにどうするかに力を注いだ方が大切です。

先日も診療の終了間際に誤飲を起こしたと来院された方がいました。その子は元々何回も小規模な誤食を繰り返していました。絆創膏や人間の食べ物などなど。。。かなり小さなうちから事故を起こしていたので注意を促したり、しつけ・トレーニングなどをご案内していましたがあまり響いていない感じでした。今まではうんちに出てきてたんだよね〜と軽い感じでしたが、今回はネットで調べたらやばそうだったから連れてきたということでした。誤飲後間もないことから吐かせる処置で対応し回収しましたが、何度も注意を促していただけになんともやり切れない気持ちになります。今回こそは身に沁みてもらえたら良いな〜と思うばかりです。

吐かせるにしても注射をうちますし、本人にとっても嫌な事だと思います。処置自体にも全く危険が無いわけではありません。誤嚥性肺炎や窒息、食道穿孔だってものによっては起こします。最悪開腹になれば余計な傷や痛みを負わせてしまうことになります。手術になれば少なくとも20-30万円の出費は覚悟しないといけません。

しかし、これらは事故を引き起こしさえしなければ全部しないで済むことなのです。中にはどうしようもない不幸や偶然が合わさって起こってしまう事故もありますが、9割方は防げる事故です。便の中から異物を回収したことがある、吐いたことがあるという場合は本当に要注意です。今までがラッキーだったに過ぎません。これから年末に向けて師走・クリスマスで慌ただしくなります。こんな時こそ今一度異物誤飲の事故回避に意識を向けましょう!

年末年始も当院は診療を行います。なので起こった事故にはしっかりと対応できますが、一番は今年は暇だな〜来年はやらなくてもいいかな〜と思えるようになる位皆様が穏やかに過ごせるといいなと思っています。