減感作療法

2018年09月20日

減感作療法:アレルギーの元になるアレルゲンを徐々に増量しながら投与することで、そのアレルゲンに対して許容性を得る結果、アレルギー反応を減らしていく治療法です。

日本国内ではアレルミューンという製剤があり、ハウスダストマイトのDerf2タンパクに対して反応するアトピー性皮膚炎に対しての製剤です。当院でも使用しておりますが、比較的副作用も少なく、効果も認められるため良い治療オプションの一つと捉えています。

犬のアトピー性皮膚炎(cAD)の主なアレルゲンはハウスダストマイト(ダニ)とされており、それに対しての減感作薬がアレルミューンという訳です。(国内では)

ただ、難しいのが正しくcADを診断するという事です。cADの診断は明確なものがあるわけではなく、除外診断や、臨床症状のパターン、病歴などから総合的に判断される疾患です。除去食試験やアレルギー検査も含めて検討・実施していく必要があります。ここが正しく成されていないと折角の治療・検査が無駄となる可能性もあります。

感染症の除外〜食物アレルギーの除外〜それでも残るかゆみがあればアトピー性皮膚炎と仮診断〜原因アレルゲンの探索を行い、環境アレルゲンに対しての反応があれば確定となります。ここで反応する環境アレルゲンの多くがハウスダストマイトであるとされています。

cADの治療オプションとしては、アレルゲンの除去やお薬(ステロイドなど)、それに加えて減感作療法があります。これらを組み合わせて行うことで良い結果を引き出す事もあります。今回はそんな併用してみたケースについて挙げてみようと思います。

若齢の柴犬さん。柴犬さんはアトピー性皮膚炎の好発犬種です。この子も例に漏れず痒みを主訴としていました。痒み止めを服用していても四肢をはじめ痒みや脱毛を呈していました。しかし、飲むのを止めるとさらに痒みが出てきてしまう、、、何とか休薬・減薬に導けるものはないかと考えます。そこでアレルミューンによる治療を追加してみることとしました。

これが併用前

 

 

 

 

 

 

 

 

なかなか脱毛が改善せず苦慮していました。

これが治療終了後

 

 

 

 

 

 

 

 

角度が違いますが、明らかに改善。痒みもほとんど認めず、発毛もこの通りです。この子は他にも口周りや後肢にも脱毛や慢性の皮膚病変がありましたが、こちらも見事に消失しています。飼い主様の満足度もとても高く、お薬の減薬も問題なく行えると思います。

この様にそれぞれの治療単体で臨むといまいち足りないというときがありますが、併用することでより高い治療効果を引き出すことが出来る場合もあります。当然、減感作を併用するということは色々な意味で手間やコストがかかりますが、痒みから解放されるということには何事にも代えられない有り難さがあると思います。

上手く付き合っていかなくてはいけない病気ですので、その子にあった治療法が選択出来ると良いですね。今の痒みに対してもう少し何か出来ないだろうか?そんな時には遠慮なくご相談下さい。