石の上にも三年

2018年08月07日

この時期は卒業を控えた方達が就職活動を兼ねて病院に実習や見学に来ます。

動物病院はそれぞれの病院に特色・雰囲気やスタンスなど多くの違いがあります。

患者さん達はそれを選んで通院しますが、働こうとする側(新卒の方達)も同じようにどこで働こうかな?と吟味するわけです。

たった1日2日ですべてが分かる訳ではありませんが、フィーリングも大事ですから色々な病院を見て欲しいと思っています。なので当院では頼まれれば積極的に見学等を受け入れています。この間は中学生の職場体験の受け入れもありました。

自分自身も6年生の時にいくつかの病院を見せて頂き、また多くの先生に相談に乗ってもらい自分の就職先を決めました。私個人の意見ですが、獣医師として最初の3年間はとても大事な時期だと思っています。この3年間でいかに成長できるかが今後の獣医師人生に大きく関わってくると思います。

ただ盲目的に眼の前の仕事をこなした時と目的意識を持って仕事をこなした時、1日では変わりませんが3年もすれば大きな違いになります。ただ目的意識を持って仕事をこなせるかは環境も大切です。人間関係や病院の雰囲気、治療スタンスなどなど多くの事柄が影響してきます。自分が成長出来ない理由が「環境のせいである」というようにはなってはいけないということです。自分が勝負できるかどうかのみに懸かっているという環境を見つけてほしいと思いますし、用意してあげたいと思っています。

「仕事や社会人は辛いものじゃないよ、楽しいものだよ。辛いという先入観はいらないよ」という考えを見ます。そのとおりだなと思う半面、イコール「辛い思いはする必要は無いし、させられる筋合いは無いよ」という事では無いと思います。仕事の中で良かったと思えること、悔しいと思えること、大変だ・キツいと思えること、嬉しいと思えること色々を飲み込んで、なんだかんだこの仕事はやり甲斐があるよと思えるようになれって事なんだと思います。でもそう思えるようには簡単にはなれません。なるためには一定の知識・技量は必須です。それを得るための努力はじっと堪えてやらないといけません。その入口が最初の3年だと思っています。

じゃあ、3年である程度の技術・知識を得てラクになったか?楽しいか?と言われればあまりありません。でも良かったと思えることの絶対数は圧倒的に増えたと思います。また、自分のやりたい事をある程度はできるようになったと思います。自分自身は4年目に幸いにも「これがやりたい(皮膚科)」という事が見つかりました。それを選択するにあたり、それまでの3年間が助けてくれました。

獣医師という仕事は終わりが無い仕事です。日々修行です。今でも毎日、来てくれる動物さんや飼い主さんにより良いものはないか?自分自身がもっと成長するにはどうすれば良いか?この手術をマスターしたい、スタッフは大丈夫か?などなど課題は山積みです。いつかこの仕事を辞めた時に、良かったなと思えれば良いなと思っています。

それでも最初の3年が大事です。石の上にも3年の気持ちで頑張って欲しいなと共に、色々な所を見て、悔いの無い選択をして欲しいし、自分自身もその手助けになることが出来たらなと思う次第です。

獣医や動物看護師、トリマーの卵さん達、頑張れ!!