腎機能

2018年05月08日

腎機能を測ったり腎臓の状態を把握するには様々な指標や方法があります。

  • 尿検査
  • 血液検査
  • エコー検査
  • 腎生検

特に一次診療の現場で大切になるのが腎臓病のサインを見落とさない事です。大まかな腎機能の程度は臨床症状や血液検査結果から推測することが可能です。

  • 腎機能(≒GFR)が50%以上ある:臨床症状・血液検査上の変化なし
  • 50%以下:尿の濃縮尿が低下する→尿量の増加&飲水量の増加、尿比重の低下
  • 25%以下:血液検査においてBUN、Creの上昇が始まる
  • 10%以下:尿毒症症状の発現、尿量の低下、Kの上昇
  • ほぼ0%:尿の産生ができなくなる

大切な事は、血液検査で腎臓関連の項目に異常をきたすのは残りが25%以下になってからという事です。言い換えれば腎臓の3/4がダメになって初めて血液検査で引っかかるということです。猫さんで多い慢性腎臓病は3ヶ月以上続く腎臓のダメージ、GFRの50%以上の障害と定義されており、血液検査では早期発見に限界があります。

しかし、その血液検査において大きな変化がありました。最近用いられているのはSDMAという項目です。SDMAは腎機能の平均40%以上の低下で高値を示し始めるとされ、機能が低下すればそれに比例して数値も上昇していきます。すなわちSDMAが上昇し始めていれば腎機能の低下が起こっている可能性があります。一昨年から当院でも健診などで使用していますが、かなり早い段階での病気の検出が可能になったと感じています。特に慢性腎臓病は早期発見&治療開始が肝となりますので、SDMAを測ることで更に早く発見出来るという事です。異常値を示す場合は再検査を行い、連続して高値の場合は初期腎臓病の疑いありと判断して治療を開始するか、尿検査を行い尿比重の確認、その後の定期的なモニタリングでもってフォローをしていきます。

健診で行うには大変有効なバイオマーカーだと思います。

水を飲む量が増えてきた、おしっこの量が増えた、薄い?と思う場合はご相談下さい。

SDMA の概要