冬は泌尿器疾患にご注意!&健診の必要性

2016年01月16日

寒いですね〜!

寒くなってくると動物達の運動量ひいては飲水量が若干低下し、泌尿器トラブルが増えるとされています。一番多いのは膀胱炎です。膀胱炎は様々な要因で発生します。

1.細菌性膀胱炎(菌の感染によるもの)

2.結石や結晶による膀胱炎

3.特発性膀胱炎(猫ちゃん特有)

これらが単独ないしは複合的に絡み合って発症します。症状としては頻尿、血尿ですが、血尿に関しては見た目だけでの判断は難しいです。肉眼的に血尿を認めるときには既に出血はそれなりにある状況であり、見た目が黄色でも潜血反応があればその時点で出血ないしは血色素がでていると判断されます。

今回は2.に該当する結石による膀胱炎で、手術になってしまったケース。

12歳のトイプードルさん。元々尿石の既往歴があったようで療法食を食べていた模様。膀胱炎症状の再燃ということで来院されました。エコー検査で膀胱内に結石を疑う所見が認められ、レントゲンにて確定診断を行いました。大変大きな石であったことや、溶かすことの出来ないシュウ酸カルシウム結石が疑われることから摘出を行うことになりました。

手術で摘出した石がこれ。。。

とても大きな結石でした。膀胱の粘膜も重度に肥厚しており、しばらくは膀胱炎症状が続くことが予測されます。

術後は良好で、しっかりとした排尿をしてくれており、食欲も良好です。あとはこの結石を検査センターで分析してもらい、石の組成を確認して再発予防へのプランニングを行っていきます。

 

 

ついでに口臭・歯石が酷かったため、スケーリングを実施。すると上顎犬歯の一本の歯肉が退行しており、隙間から水を流すと鼻から漏れ出る状態。。。口鼻瘻管になっていました。残念ながら歯としての機能は期待できず、元々くしゃみが多発している要因でもあるため、抜歯を行いました。抜いたあとは大きな穴の為、唇の裏の粘膜をフラップとして閉鎖しました。これで生活の質はかなり上がるはずです。この子は元々定期的にスケーリングをしていたようですが、ここ数年は実施していなかったようです。やはり定期的な歯科メンテナンスは大切ですね。

イレギュラーな処置になりましたが、高齢な子の手術時にはこの様なことはたまに経験します。手術が順調に終わる場合は同時に他の問題点をクリアにすることで今後の麻酔の回数を減らすことにも繋がります。当然、基本の手術が安全に済むことと、麻酔の延長に耐えうるシチュエーションかを判断することが肝にはなりますが。。。

 

 

 

今回の膀胱結石や歯石は一朝一夕で形成されるものでは無く、それなりに年月をかけて作られたものです。定期的な健診やメンテナンスの必要性が感じ取れるのでは無いでしょうか?

「この子は今まで病気したことがありません、健康だったんです。」とお伺いすることがあります。本当ならとても素晴らしいことですが、実は気付けていないことも残念ながらあります。例えば肝臓病は本当に進行しないと体の表面上の変化は出ませんし、癌も小さければ何も悪さしないこともよくあります。さらに動物達は基本的には症状を隠します。隠し切れないときに初めて症状を出して教えてくれます。

病気になってからどうするかもそうですが、病気にさせない・早期発見でダメージを減らすことも同じくらい大切だと考えます。ペットの高齢化が進む今だからこそ、きちんとした健診やワクチンなどの予防医学を考えてあげてはいかがでしょうか?健診には様々なプランや方法があります。何が必要か?どの頻度で行うのが良いのか?答えは1つではありません。是非ホームドクターに相談してみてください。