子犬のワクチンプログラム
2015年04月02日
いよいよ新年度です!狂犬病やフィラリアの予防など忙しくなりますね。当院でも狂犬病の接種は目黒区・世田谷区の方問わずお受けしておりますので遠慮なくお申し付け下さいね!
今日は子犬のワクチンについて。。。
ワクチンには以下のものがあります。
- 混合ワクチン(6種混合など)
- 狂犬病ワクチン
特に混合ワクチンはお家に来たタイミングや週齢によって接種時期や回数が異なるものなので、獣医師からプログラムを確認することが必要になります。しかし、この子犬における混合ワクチンの接種のプログラムは、日本においては明確なガイドラインが存在せず、各々に委ねられているのが現状です。
一方、アメリカではどうなっているかと言うと、AAHA(アメリカ動物病院協会)がガイドラインを提唱しており、何度かの改変を経て2011年に最新版が出ています。狂犬病ワクチンの接種方法などと併せて記載されており、基本的にはそのガイドラインに従っているようです。ガイドラインは米国の実績ある獣医師達(いわゆる重鎮)が集まって様々な知見から話し合いを経て制定されたものであり、信用度の高いものです。ただ、法律ではありませんので、すべての子に当てはまるものではありませんし、米国内でもまだまだ議論もされているようです。
当院では現在の日本におけるバラバラな状況のなかで、なるべくAAHAのガイドラインに基いて子犬のワクチンプログラムを作成させて頂いています。特にコアワクチンと言われるパルボやジステンパーなどの感染症に対してこれらのプログラムを守ることは大切だと考えております。一部抜粋すると、
- 生後6〜16週齢の間で3〜4週間隔でワクチンの接種を行う
- 母子免疫からの干渉を考慮し、最後の1回は14〜16週齢の間に接種
- その後は1年以内に再接種し、以後は3年以上の間隔を空けて追加接種
というような事がコアワクチンに関しては記載されています。しかし、ここには1つ落とし穴があります。それは3.の接種間隔になります。日本に存在する混合ワクチンはすべて1年に1回のタイプになるので、メーカーの保証は1年しか効かないことになります。今後、違うタイプが出る可能性は有りますが、現時点ではありません。そのため、当院では以下のルールを採用しております。
- 6〜16週齢の間で3〜4週間隔でワクチン接種(動物愛護管理法の改訂で8週齢未満の販売は出来ません)
- 最後の1回は15(〜16)週齢となるようにする(特に大事なポイントです!)
- その後は1年に1回(理由は前述)
何回ワクチンを打つのか?では無くて、いつ打つか?が大切ということになります。すなわち、お家に来たタイミングによっては接種が1回で済む子もいれば3回必要になる子もいます。ブリーダーさんやショップさんで一律に2回とか3回で良いと決めることが、ガイドラインに従うと無理があることはご理解いただけると思います。あくまでもガイドラインですので、絶対的なものでは無いことは先程も述べましたが、体への負担が全く無いものではない以上は効果的かつ正しく使用してあげるためにオーダーメードでプログラムを作成することが必要です。そのために当院ではこのような指針を取らさせて頂いています。このプログラムに則っていない場合は、当院でのお預かりや診察などの制限や必要な予防をさせていただいてからの対応となる場合もございますし、逆にケースに寄ってはこのガイドラインを無視するケースもあります。当然、今後の様々な知見やワクチンの開発によってはこれらの方針もアップデートしていく予定です。
当院ではワクチンを接種した際には次回予定日を記載した接種証明書をお渡ししますが、そのタイミングにはこの様な深い背景があることを皆様に知って頂ければ幸いです。せっかく今まで接種してきた予防が無駄にならないように、かつ余計にならないようにプログラムを決定しておりますので、ご安心ください。(文字通りの証明書ですね)また、ご不明な点があればお答えしてまいりますので遠慮無くお尋ねください。
様々なやり方のどれが間違いで、どれが正しいのか?や、ショップやブリーダーさんと獣医師のどっちが信用に足るか?ということではなく、「バラバラな現状の中でアカデミックな根拠に基いて検討するとこの様な方法がよりベターである」と当院は考えているとご理解ください。
なお、狂犬病ワクチンについては狂犬病予防法という法律できちんと決められていますので、それに準じた対応が必要になります。